エアコン工事では、
100V → 200V への電圧切り替え(電圧切替工事)
を行う場面がよくあります。
しかし、この作業には重大なリスクが潜んでいます。
僕自身、現場で遭遇した「非常に危険だった事例」があるので、
同じ事故が起きないよう注意喚起として記事にまとめます。
❗ 実際にあった危険事例
あるお客様宅にてエアコンの電圧切替工事の依頼を受けたときのことです。
室内を確認していると、
エアコンのコンセントと火災報知器のコンセントの位置関係に違和感 を覚えました。
「念のため電源を追ってみるか…」と思い、確認を進めていくと――
⚠️ まさかの配線:
エアコンコンセント → 火災報知器へ “分岐” していた
つまり、
- エアコン用コンセント(100V)
- 火災報知器のコンセント(本来は100V専用)
が 同じ回路から分岐して接続 されていたのです。
この状態で電圧切替(100V → 200V)を行うと、
🚨 火災報知器に 200V が流れる
火災報知器は 100V 専用です。
そこへ 200V が流れると、
- 故障
- 焼損
- 最悪は発煙・発火のリスク
など、重大事故につながります。
もし何も確認せず切り替えていたらと思うと、ゾッとしました。
🔍 なぜこうなる?
原原因はシンプルで、
過去の施工で「エアコンの専用回路」を守らず、あとづけ火災報知器の電源をエアコンコンセントから分岐して作っていた
ためです。
本来は:
エアコン:専用回路(単独で1回路)
という明確なルールがあります。

🧩 実際の現場で起こっていたこと(お客様への確認で判明)
お客様に確認すると、
火災報知器は後付けで、そのとき来た電気屋さんが “新しくコンセントを作った”
→ しかし実際は、エアコン専用コンセントから分岐していた
ということがわかりました。
つまり…
エアコン回路を “専用” ではなくしてしまった施工
が原因でした。
この状態でエアコンを100V→200Vに切り替えると、
分岐されていた火災報知器のコンセントにも200Vが流れてしまいます。
🏚 古い住宅・あとづけ工事は特に注意
古い住宅や、あとから付け足しで工事が行われている家では、
このような誤施工が残っていることがあるため、
- コンセント位置の違和感
- 配線の不自然さ
- 分電盤と回路の不一致
などに気づいたら、必ず確認が必要です。
⚠️ 100V機器に200Vが流れるとどうなる?
- 火災報知器が破損
- 最悪、発煙・発火の可能性
非常に危険です。
🛑 電圧切替前に必ず確認すべきポイント
電圧切替工事を行う際は、以下を必ずチェックしてください。
✔ ① エアコン回路が「専用回路」になっているか
分電盤のブレーカーを確認し、
- エアコン専用のブレーカーがあるか
- そのブレーカーから他の機器へ分岐していないか
を確認。
✔ ② コンセントに違和感がないか
エアコンと関係なさそうな機器(火災報知器・換気扇など)が
近くにある場合は要注意。
✔ ③ 電圧切替は必ずテスターで確認
切替後は必ず 200V になっているか/他に電圧がかかっていないか
をテスターでチェック。
❗ もしも分岐が見つかったら?
絶対に電圧切替をしてはいけません。
- 分岐を取り除いて専用回路にする
- 火災報知器などの機器は別の100V回路へ付け替える
など、正しい配線に直す必要があります。
🔧 今回の対応(実施した作業)
今回の事例では、
火災報知器を正しい位置へ移設し、
電源を “エアコン専用回路以外” の適切な回路から分岐して、
新しく専用のコンセントを作り直しました。
つまり、
🟢 エアコン回路は純粋な専用の状態に戻した
🟢 火災報知器は正しい回路から給電するように是正した
という安全な形に改善しました。
🔧 まとめ|電圧切替は “確認作業” が命を守る
今回のような事例は、滅多にないと思いたいところですが、
実際の現場では時々見つかります。
電圧切替で一番危険なのは、「確認不足で200Vを誤送すること」。
エアコン工事士にとって、
・安全意識
・違和感に気づく力
・確認を怠らない習慣
これは命を守る技術と同じくらい大切です。


