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エアコンの水漏れを防ぐ判断力|原因の見極めと対処の基本

エアコンの水漏れは、ガス漏れと並んでよくあるトラブルのひとつです。
しかし、冷媒系とは異なり、水の流れ=ドレン系統に原因があることが多いです。

「水がポタポタ落ちる」「室内が濡れる」といった相談のとき、
僕はまず、“流れが止まっている箇所”を探します。


1. 水漏れの主な原因

水漏れのほとんどは、次の3つのいずれかです。

  1. ドレンホースの詰まり
  2. ドレン勾配(傾斜)の不良
  3. ドレンホースの結露

いずれも「水の逃げ道が失われる」ことによって起こります。


2. ドレンホースの詰まりを疑う

まず最初に見るのはドレンホースです。
室内機で発生した結露水は、このホースを通って屋外に排水されます。

しかし、長年使っていると内部にホコリや虫の死骸がたまり、
さらに、細菌が繁殖してできるスライム状のかたまりが発生して、
通り道を完全に塞いでしまうことがあります。

✅ 現場の習慣
屋外側のドレンホースに口を近づけて「息を吹く」だけでも
詰まりを感じ取れるときがあります。

水が逆流している感覚があれば、ほぼ詰まりです。
ポンプや圧縮空気で一気に詰まりを除去すると改善します。


3. ドレン勾配の確認

エアコンの排水は、**わずかな傾斜(勾配)**で流れています。
室内機よりも外側のホースの位置が低くないと、水が流れません。

設置時の水平調整が甘いと、
水が室内側に逆流してポタポタ漏れを起こします。

特に、マンションなどで室内カバーを取り付ける場合は注意が必要です。
カバーの見た目を優先して勾配が取れていないと、
内部で水が滞留して漏れの原因になります。

ポイント
勾配が気になるようであれば、施工後に室内機のドレンパン(水の受け皿)に水を流して
しっかり排水されるかを確認しておくと安心です。

この一手間で、目に見えない“水の流れ”を確かめることができます。
見た目の仕上がりだけでなく、水が自然に流れるかどうかを確認することが、
漏れを防ぐ確実な方法です。


4. ドレンホースの結露に注意

見落としがちなのが、ドレンホース自体の結露です。

冷房中、ドレンホースの中には冷たい水が流れています。
このホースを通る部分が断熱(保温)されていないと、
外気との温度差でホースの外側に水滴が付き、
そのまま室内や壁内に水が垂れることがあります。

特に、マンションなどで室内側をドレンホースが通る場合は、
必ず保温材を巻いておくことが重要です。
天井裏配管や壁貫通部など、長い距離を通る施工では、
一部でも保温が切れているとそこから結露が起きます。


5. 水漏れを防ぐために意識すべきこと

エアコンの水漏れは、施工の段階でほぼ決まります。
排水の勾配と、ドレンホースの保温。
この2つを正しく整えることで、
ほとんどのトラブルは未然に防ぐことができます。

まとめの要点
・勾配は「水が自然に外へ落ちるライン」を意識する
・室内側を通るドレンホースには必ず保温材を巻く

仕上げ後にできる確認としては、
ドレンパンに水を流して排水状況をチェックすること。
これが流れの最終確認になります。


6. まとめ

水漏れは「水の流れ」が止まったサイン。
焦って動く前に、まず水が通る道筋を思い出し、落ち着いて確認することが大切です。

現場では、

  • 勾配を正しく取る
  • 保温を確実にする

この2点を意識するだけで、
8割の水漏れは防ぐことができます。