エアコンが「冷えなくなった」という相談を受けたとき、
僕はまず、**室外機側の配管接続部(2分配管)**を確認します。
冷媒ガスの漏れは、エアコンのトラブルの中でも非常に多い原因のひとつ。
しかし、目に見えないため、現場での“観察の力”が試される部分でもあります。
1. ガス漏れの初期症状
エアコンが効かないとき、多くの人は「ガスが抜けた」と思います。
でも実際には、「どこで漏れたかを見抜く力」が重要です。
僕が現場で意識しているのは、
冷媒配管の“細い方(2分管)”をまず疑う。
冷媒ガスは高圧・低圧を循環しながら冷却を行うため、
2分管の接続部がわずかに緩んだだけでも漏れが発生します。
2. 室外側を先に確認する理由
僕はまず室外機のカバーを開けてナット部を確認します。
ここで霜がついていたら、ガス漏れの可能性が非常に高いです。
ガスが抜けるとき、配管内の圧力が急激に下がり、
その周囲が冷えて霜がつくことがあります。
つまり、“霜=ガス漏れのサイン”です。
現場の習慣
室内機よりも室外側を先に見る。
そのほうが霜やオイル痕などの目視判断がしやすく、特定が早い。
3. フレア部分の確認と作り直し
ガス漏れの多くは、フレア加工の不良やナットの締め付け不足が原因です。
フレア面が傷んでいたり、締めすぎで割れていたりすることもあります。
古いエアコンの場合は、金属疲労で接続部の密着が弱くなっていることもあります。
長年の振動や熱膨張の繰り返しで、わずかな変形が起きてしまうのです。
原因が特定できたら、
フレアを作り直してからガスをチャージします。
この手順を省略すると、再発のリスクが高まります。
フレア面を丁寧に仕上げ、トルクレンチで適正な力で締め込む。
この一手間で、作業の信頼性が大きく変わります。
4. ガスチャージのポイント
ガスチャージは「冷媒回路を閉じたあと」で行います。
真空ポンプでしっかり真空引きを行い、
配管内の空気と水分を完全に抜いてからガスを充填します。
冷媒が正しく循環すれば、
吹き出し温度が安定し、冷え方が戻ってきます。
5. まとめ
エアコンが冷えないとき、
いきなりガスを入れるのではなく、
まず「どこで、なぜ漏れたのか」を見抜くことが大切です。
- 室外機の2分配管をまず確認する
- 凍結していればガス漏れのサイン
- フレアを作り直して再チャージ
- 古い機種では金属疲労にも注意
この流れを丁寧に行うことで、再発を防ぎ、
お客様に「安心して任せられる職人」と思ってもらえます。


