はじめに
エアコン工事の仕上がりを大きく左右するのが配管カバー工事です。
見た目を整えるだけでなく、配管を紫外線や雨水から守り、長持ちさせるための大切な工程でもあります。
外観がきれいに仕上がっていると、お客様の印象も良くなり、信頼にもつながります。
この記事では、室外カバーと室内カバー、それぞれの特徴と注意点を紹介します。
室外カバー工事の基本
エアコンの配管を外壁に通したあと、**配管カバー(化粧カバー)**を取り付けてルートを整えます。
単に配管を隠すだけでなく、外観と耐久性を両立させる重要な仕上げです。
使用する主な部材と役割
- ヘッド(室内から出る部分):配管のスタート地点。壁の穴周りをきれいに見せる。
- 直管:配管をまっすぐ保つ基本パーツ。必要な長さにカットして使う。
- 90度エルボ:直角に方向を変えるときに使用。建物の角やサッシまわりでよく使う。
- 45度エルボ:角度をやわらかくしたいときに使う。見た目が自然に仕上がる。
- ジョイント:直管と直管をつなぐ部材。長い距離を通すときに使う。
- エンド部材:最後の出口部分。ドレンホースの排水位置を整える役割もある。
部材の組み合わせとルート計画をしっかり行うことで、
「ラインのきれいな配管」や「雨水が入りにくい施工」が実現できます。
室外カバー工事で意識しているポイント
僕が意識しているのは、見た目のラインと防水性の両立です。
- カバーの角度を無理に合わせず、建物のラインに自然に沿わせる
- ヘッドと壁の継ぎ目にはコーキングを適度に打ち、雨水の侵入を防ぐ
- 外壁の色に合わせたカバーを選ぶ(白・アイボリー・グレーなど)
また、6.3kW以上のエアコンでは配管が「2分4分」と太くなるため、
以前の「2分3分」配管を想定したカバーでは収まりません。
カバー内に入りきらない場合は、サイズアップまたはカバーやりかえが必要です。
室内カバー工事の基本
室内カバーは、部屋の見た目を整え、配管をすっきり見せるための仕上げです。
特に新築やリフォーム現場では、美観の仕上げとして非常に重要なポイントになります。

使用する主な部材と役割
- ヘッド(スタート部):室内機の下部から配管を出す部分。壁との取り合いをきれいに見せる。
- 直管:配管をまっすぐ通す基本部材。部屋の壁に沿ってスッキリ見せる。
- 90度エルボ:方向を直角に変えるときに使用。エアコン下から床方向へ下げるときなどに使う。
- 45度エルボ:やわらかい角度で曲げたいときに使用。見た目を自然に仕上げられる。
- ジョイント:直管と直管をつなぐ部材。長い距離を通すときに必要。
- 入隅(いりすみ):部屋の内角を通すときに使用。壁の凹みに沿わせる形で取り付ける。
→ 特にマンションなどで梁(はり)の窪んでいる側をまわすときに使用。 - 出隅(ですみ):部屋の外角を通すときに使用。角から配管を回すときに便利。
→ 梁の出っ張り側をまわす場合に使用。
室内カバー工事で意識しているポイント
室内カバーで最も重要なのは、排水(ドレン)の勾配です。
どんなに見た目がきれいでも、勾配が取れていなければ、室内機からの水が逆流し、オーバーフローを起こす危険があります。
特に、室内カバーを取り付けるときに水平のラインをつくってしまうケースが多く見られます。
一見、水平のほうが美しく見えますが、ドレン水が流れにくくなり、
冷房時に室内機から水があふれる原因になります。
室内カバーのわずかな傾きが、トラブルを防ぐポイントです。
カバーを設置するときは、外へ向かってごくわずかに下がる勾配を意識します。
目安としては、**1/100〜2/100程度(1メートルあたり約1〜2センチ下がる)**角度です。
また、壁際や梁まわりを通す際も、配管やドレンホースが水平になっていないかを確認します。
室内カバーは見た目の美しさだけでなく、排水ルートの安全性を確保するための部材でもあります。
僕はいつも「見た目の水平」と「排水の勾配」のバランスをとるようにしています。
ほんの数ミリの違いですが、ここを意識するだけで仕上がりとトラブル防止の両立ができます。
まとめ
配管カバー工事は、**「丁寧さ」と「計画性」**で仕上がりが決まります。
正しい部材選びとルート設計を行うことで、見た目・耐久性・メンテナンス性が大きく向上します。
見える部分を丁寧に仕上げることが、
現場全体の信頼と美しさにつながると僕は考えています。




