ルームエアコンの工事という仕事には、
どこか「自分の中で完結する」部分がある。
現場に入って、道具を準備して、設置から試運転まで。
最初から最後まで、自分の手でやりきる。
それがこの仕事の特徴だと思う。
誰かに頼るより、自分がどう動くか。
考えて、判断して、手を動かす。
そうして形にしていく過程の中に、
その日の自分の状態がそのまま表れる。
焦っていれば仕上がりが荒れるし、
落ち着いていれば配管の曲線もきれいになる。
仕事の仕上がりは、自分の内側の状態の写し鏡だと感じる。
現場では、あまり言葉を使わない。
ただ、壁と、配管と、限られた時間に向き合う。
その短い時間の中で、どれだけ丁寧に仕上げられるか。
それが、職人としての静かな勝負だと思う。
タイムリミットの中で集中していると、
だんだん周りの音が消えていくような瞬間がある。
そのとき、心は不思議と落ち着いている。
ひとつの現場を終えて車に戻ると、
少しだけ心が落ち着いていることが多い。
体を動かして働いた充実感と、
「自分の力でやりきれた」という小さな満足。
その積み重ねの中で、
働くことが自分を整える行為になってきた。

ルームエアコンの仕事は、
誰かの暮らしを支えるだけじゃなくて、
自分の心を落ち着かせる時間でもある。
ひとつの現場を終えるたび、
少しずつ、自分も整っていくような気がする。

