はじめに
エアコン工事の現場でよく聞く「2ぶ3ぶ」「2ぶ4ぶ」という言葉。
初めて聞くと何のことか分かりませんよね。
これは、冷媒ガスを通す銅の配管サイズを表しています。
ルームエアコンでは、この「2ぶ3ぶ」と「2ぶ4ぶ」の 2種類 だけを使います。
この2つを理解しておくだけで、現場で迷うことがなくなります。
逆に覚えていないと、配管サイズが合わず取付ができないというトラブルになることもあります。
エアコンの配管とは?
エアコンは「冷媒ガス」が室内機と室外機を循環することで、冷暖房を行っています。
その冷媒の通り道が「銅配管」です。
配管は2本で1セットになっており、役割が異なります。
- 細い管(液管):冷媒の液体を室外機から室内機へ送る(主に冷房時)
- 太い管(ガス管):気化した冷媒ガスを室内機から室外機へ戻す(主に冷房時)
※暖房時はこの流れが逆転し、
太い管で温かいガスを送り、細い管で液体冷媒を戻すサイクルになります。
この2本がセットになった配管を「ペアコイル」と呼び、
ルームエアコンでは 2ぶ3ぶ(1/4+3/8) と 2ぶ4ぶ(1/4+1/2) の2種類だけを使用します。
2ぶ3ぶとは?
2ぶ3ぶは、**家庭用の標準的なエアコン(〜5.6kW)**に使われます。
▶ 2ぶ3ぶの基本情報
- 2ぶ(1/4):外径 6.35mm(細い管)
- 3ぶ(3/8):外径 9.52mm(太い管)
- 対応機種:おおよそ 2.2kW〜5.6kW クラス
- 使われる場所:6畳〜18畳程度のルームエアコン
💡 覚え方
「5.6キロまで=2ぶ3ぶ」
一般的な家庭用エアコンは、この2ぶ3ぶでほとんど対応できます。
2ぶ4ぶとは?
2ぶ4ぶは、6.3kW以上の大容量エアコンに使われます。
▶ 2ぶ4ぶの基本情報
- 2ぶ(1/4):外径 6.35mm(細い管)
- 4ぶ(1/2):外径 12.7mm(太い管)
- 対応機種:6.3kW 以上(20畳〜)の大型エアコン
💡 覚え方
「6.3キロ以上=2ぶ4ぶ」
4ぶ配管は太く、曲げすぎると折れることがあります。
**ベンダー(配管曲げ工具)**を使うことで、きれいに安全に仕上げられます。
配管を接続するには?(フレア作業)
室内機・室外機と配管をつなぐには、配管先端をラッパ状に広げるフレア加工が必要です。
しっかり広げて、ガス漏れを防ぐのがポイントです。
配管を延長する場合
現場で「配管が届かない!」ということもあります。
その場合は、次の2つの方法で延長します。
① ユニオンでつなぐ
ユニオンと呼ばれる接続部材を使用します。
2ぶ・3ぶ・4ぶ用があり、ネジ式で接続できるため扱いやすいです。
② ロウ付け(溶接)でつなぐ
トーチバーナーで加熱し、リン銅でロウ付けします。
やや高度な作業ですが、見た目がきれいで漏れも少ないです。
よくあるトラブルと対策
僕自身、以前お客様宅で「5.6キロの予定だったのに、実際は6.3キロのエアコンだった」ということがありました。
手持ちの2ぶ4ぶ配管がなく、現場を一度離れてホームセンターへ。
時間のロスでした。
🔧 教訓:
「6.3キロ以上のエアコンは2ぶ4ぶ」
→ 予備を必ず車に積んでおく!
まとめ
- ルームエアコンで使う配管は 2ぶ3ぶ と 2ぶ4ぶ の2種類だけ
- 「5.6キロまでは2ぶ3ぶ」「6.3キロ以上は2ぶ4ぶ」で覚える
- 冷房時は「2分が送る」「3分が戻る」
- 暖房時はその逆になる
- 曲げ・接続・延長は丁寧に
- 予備を車に常備しておくと現場で慌てない
冷媒配管の流れを理解しておくことで、現場のトラブルを防ぎ、確実で美しい施工ができます。




