今回は複線図の描き方を解説します。
複線図とは実際の回路を図で描き示したものです。はじめてみると抵抗あるかもしれませんが、今回の記事のように3つのルールに従って描き進めれば誰でも完成させることができます。
第二種電気工事士の技能試験での出題はもちろん、筆記試験にも複線図が描けるようになると合格に近づきます。
動画で解説
3つのルールで複線図を描く
第二種電気工事士の技能試験では、「40分」のタイムリミットがあります。複線図を素早く描けるととても楽になります。
2~3分で複線図を描いて、制作に取り掛かれば余裕をもって完成させることができます。自信をもって複線図を描けば、残りはそれに基づいて作るだけだからです。
ルール① 非接地側(白)をスイッチ以外に接続
ルール② 接地側(黒)をスイッチとコンセントに接続
ルール③ スイッチと対応する器具を接続
ルール① 設置側(白)をスイッチ以外に接続
接地側○に電灯(イ)(ロ)とコンセントを接続します。
単相三線式の住宅分電盤の中性線(白)に検電器を使うと反応ありません。この○からきた電線は、電気の流れていない線です。
検電器とは電気がきている電線を調べることができる器具で、被覆(この場合白線)の上から調べることができる優れものです。
回路をつくるということ
回路をつくるということは、電気がきている線ときていない2つの線を負荷(器具)につなげることです。
電気は電圧の差である電位差により流れますので0Vである接地側とつなげることで電流が流れます。電位差が(100Vー0V=100V)100Vあるため負荷に電流がながれて仕事をすることができます。
ルール② 接地側(黒)をスイッチとコンセントに接続
上記のように電源の非接地側の●にスイッチ(イ)(ロ)とコンセントを接続します。
この●とつながっている電線を検電器を当ててみると反応します。イメージとしては、電気がきている線をスイッチとコンセントのそれぞれに接続するという感じです。
ルール③ スイッチと対応する器具を接続
スイッチ(イ)と電灯(イ)を接続します。残りのスイッチ(ロ)と電灯(ロ)を接続します。
ここでいう電灯などの負荷は○と●からきた2線がそろうことで仕事(明かりがつく)をすることができる準備がととのいます。回路には常に電圧がかかっています。○からの線と●からの線がつながれば、自然と電気は流れます。
ちなみに器具などの負荷がない状態で〇からきた線と●からきた線がつながってしまうことを短絡(ショート)といいます。短絡すると回路に大電流が流れてしまいとても危険です。
スイッチの場合
スイッチとは、この電位差により自然と流れてしまう電気をコントロールするための装置になります。閉じることで○からの線と●からの線がつながり(これがON)、開くことで○と●が切り離されます(これがOFF)。
電灯(イ)に○と●からきた電線がそれぞれ接続されて、スイッチが閉じること(スイッチON)で電気が器具に流れ込むことになりますので明かりがつきます。「●→負荷→○」と1周することでスイッチ負荷の回路が完成すると覚えるとよいです。
器具の場合は、スイッチを回路の間にはさむことでONとOFFをコントロールします。スイッチなしで器具につなげれば常に接続状態であるONとなり常時仕事をする回路となります。
コンセントの場合
コンセントの場合は、プラグをコンセントに差して、さらにその器具のスイッチをONにすることで「●→負荷→○」と回路が1周しますので作動します。
電線の色を描く
本質的には、電気がきている線(●)と電気がきていない線(〇)が器具やコンセントにそれぞれつながっていれば回路はできあがります。
したがって線の色はなんだってかまいません。電線の色は、銅線のまわりを囲っている色付きのゴムにすぎないからです。しかしそれでは実際に工事するときにミスが起こる可能性が格段に高まりますし、リフォームなどするときに次に工事する人にとってもわかりにくいです。
なので電線の色をしっかり整えることで工事ミスを予防できます。安全のためにも電線の色には注意が必要です。
接地側の電線は白色
基本的には、シロ(白色)は電気が流れていないという意味の色になります。例外的にはルール③のように器具につながるわたり線に白を使う場合は黒色に近いイメージです。スイッチがONになることで器具につながる電気が流れている黒色的な働きをすることになります。
非接地側の電線は黒色
ここでいうクロ(黒色)は電気が流れている線という意味です。
残りの電線の決め方
今回の例題では、ケーブルを使っていて(外装被覆に覆われた電線)、その2芯を使っていますので1本のケーブルは白と黒色の電線が通っています。
黒色が使われていたら反対側は白色となります。反対に白色が使われていたら反対側は黒色となります。
電線の接続
差し込みコネクタ
電線の数に応じて使いわけをします。
2本だったら2口、3本だったら3口、4本だったら4口の差し込みコネクタに差し込んで電線を接続します。
リングスリーブ
リングスリーブについては、別記事を参照ください。
専用の圧着器によりリングスリーブをつぶして電線を接続します。
まとめ
今回は複線図の描き方を3つのルールで解説しました。
これらをマスターすれば第二種電気工事士の技能試験の複線図が解けるようになります。複線図を描き終えたら、残り時間を使って制作すれば合格することができるでしょう。
電気工事士になるためのロードマップも作成していますのでよかったらご覧ください。